消防設備士になると消防設備の点検や工事の業務を行いますが、
業務に従事するためには消防設備士の資格が必要になります。
(実際は業務メンバーに資格持ちがいれば、資格未取得でも業務を行えます)
ですが、消防設備士関連の資格はたくさんあるので、
一気に取ることができません。
そのため、資格を取得する順番や優先順位を考える必要があります。
今回は消防設備士関連の資格のおすすめの取得順番を紹介します。
消防設備士関連の資格の取得する順番
資格取得の順番の前提として、
・消防設備士業務に未経験から従事した場合に業務に役に立つこと
・受験資格や科目免除の要件をスムーズに満たせる順番
を考えたものになります。
消防設備士関連の資格取得順番の結論
資格取得順番を結論から言うと、
①消防設備士乙種6類
→②第二種電気工事士、第三級陸上特殊無線技士
→③消防設備点検資格者1種、2種
→④消防設備士甲種4類
→⑤消防設備士甲種1類
→⑥消防設備士甲種2類
→⑦消防設備士甲種3類、甲種5類、乙種7類
→⑧消防設備士甲種特類
の順番となります。
なぜこの順番がいいのかを説明します。
各資格の概要
消防設備士は1~7類と特類があり、1~5類は甲種と乙種、6,7類は乙種のみ、特類は甲種のみとなります。
乙種は点検と整備のみ、甲種は点検整備に加え、工事も行えます。
(そのため甲種が上位資格となります)
それぞれの免状で扱える消防設備が違いますので、全て取得することが望ましいです。
消防設備士の種別 | 扱える設備 | 甲乙の有無 |
1類 | 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、 水噴霧設備、屋外消火栓設備、パッケージ型消火設備 | 甲、乙 |
2類 | 泡消火設備、パッケージ型消火設備 | 甲、乙 |
3類 | 不活性ガス消火設備、粉末消火設備、ハロゲン化物消火設備 | 甲、乙 |
4類 | 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、 消防機関へ通報する火災報知設備 | 甲、乙 |
5類 | 避難器具(金属製避難はしご)、救助袋、緩降機 | 甲、乙 |
6類 | 消火器 | 乙のみ |
7類 | 漏電火災警報器 | 乙のみ |
特類 | 特殊消防用設備 | 甲のみ |
また、消防設備士に似た資格で「消防設備点検資格者」という資格があります。
こちらは第一種と第二種、特種の三種類があり、
取得すると複数の消防設備の点検と整備ができるようになります。
消防設備士の資格と違って、一つ取得すると複数の設備の点検ができるので、
早めに取得するといいです。
(工事はできませんの注意)
点検資格者の種別 | 点検できる設備 |
第一種 | 消防設備士1類~3類、6類で点検できる設備 |
第二種 | 消防設備士4類、5類、7類で点検できる設備 |
特種 | 特殊消防用設備 |
取得順番にあるそれ以外の資格として、「第二種電気工事士」と「第三級陸上特殊無線技士」があります。
資格名 | 概要 | 取るメリット |
第二種電気工事士 | 交流600V以下の電気工事に従事することができる。 誘導灯の工事、受信機の幹線の施工が可能となる。 | 消防設備士甲種の受験資格を満たせる 消防設備士試験の科目免除が行える |
第三級陸上特殊無線技士 | 無線の基地局を開局できる。 講習で1日で取得できる | 消防設備士甲種の受験資格を満たせる |
この取得順がおすすめである理由
おすすめの取得順は、
乙6→二種電工、三陸特→点検資格者1種、二種→甲4→甲1→甲2→甲3、甲5、乙7→特類
ということなのですが、なぜおすすめなのかを説明します。
①まず最初は消防設備士乙種6類から取る!
未経験から消防設備士になった場合、業務や知識を何も知らない状態です。
乙6は消火器の点検が行える知識を得られます。
消火器はどこの建物にもあるものですので、点検できると仕事に参加できるようになります。
また、消防設備士の乙種の受験資格要件は無く、誰でも受けることができるため、
一番最初に受けることをおすすめします。
消防設備士乙種6類を取得すれば「消防設備士」を名乗ることができ、
資格保有者しかできない仕事や入れない物件に行くことができますので、
まずは乙6を取りましょう!
私が消防設備士乙種6類に合格した勉強法はこちら↓
②次に第二種電気工事士、第三級陸上特殊無線技士を取ろう
無事に乙6が取れたら、
次は第二種電気工事士と第三級陸上特殊無線技士を取りましょう。
第二種電気工事士を取る理由としては、
・試験が年二回しかないので、早めに受験しておく。
・消防設備士甲種の受験資格を得ることができる。
・消防設備士試験の電気に関する科目の免除ができるようになる。
といったメリットがあるからです。
第二種電気工事士は試験が1年間に2回しか無く、しかも筆記試験と実技試験をどちらも合格しないと合格になりません。
そのため、受けたい時に試験をやっていないことがあるので、
早めに受けておけば試験まで間隔が空くことがないでしょう。
また、第二種電気工事士の資格を持っていると、
消防設備士試験の「電気」に関する試験科目を免除することができます。
電気が苦手な方はいると思いますので、頑張って第二種電気工事士を取得すれば、
その後の消防設備士試験で科目免除により問題数が少なくて済みます。
なので早めに取った方が有利になります。
また、第二種電気工事士、第三級陸上特殊無線技士は取得していると
消防設備士甲種の受験資格が得られます。
消防設備士は甲種が乙種よりも上位資格となり、取得していますと工事業務も行うことができます。
しかし甲種の受験資格の要件はいくつかあり、
・消防設備士免状を保有しておらず3年以上の実務経験があるもの
・消防設備士乙種免状を受けてから2年以上の実務経験があるもの
・消防設備士甲種免状を保有しているもの
・電気工事士であること
・無線従事者であること
他、など試験を受けるためには条件があります。
未経験から消防設備士になった方ですと、
実務経験を積んでから甲種を受験することになりますが、
そこまで待っているのは損です。
なぜなら乙種の消防設備士を取得しても、
工事業務をしたければ上位の甲種を取る必要があるので、
二度手間になってしまいます。
そのため、甲種だけをすぐに受験した方が効率的だからです。
よって早くに甲種の受験をするために第二種電気工事士か第三級陸上特殊無線技士を取得する必要があります。
この二つの免許に受験資格はありません。なので誰でも受けることができます。
おすすめなのが第三級陸上特殊無線技士です。
こちらは資格試験に合格する以外に、
1日の講習を受けるだけで免許が取得できます。
第三級陸上特殊無線技士を取ってしまえば消防設備士甲種試験を受験することができるので、
乙6を取得したらすぐに第三級陸上特殊無線技士を取りましょう。
③続いて消防設備点検資格者第1種と第2種を取得しよう
消防設備士乙種6類を取得していれば、
消防設備点検資格者の取得講習を受けることができます。
この点検資格者という資格ですが、複数の消防設備の点検ができるようになります。
つまり持っていれば大体の設備の点検ができる
→点検業務の責任者になれます。
受講資格が「消防設備士の免状を受けているもの」であるので、
乙6一つだけしか所持していなくても受けることができます。
講習は第一種が3日間、第二種が3日間の合計6日間と長丁場で、
受講料が各3万円の合計6万円と高額なのですが、
取得してしまえばほぼ全ての消防設備の点検ができるのでおすすめです。
これを取れば、点検業務のリーダーとして現場に行けるようになりますし、
報告書なども自分の名前で書く事ができます。
私が消防設備点検資格者講習を受けた感想はこちら↓
④続いて消防設備士甲種4類を取得しよう
無事第二種電気工事士、第三級陸上特殊無線技士を取ることができれば、
次は甲4を取りましょう。
消防設備士甲種4類は自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、火災通報装置の点検、工事ができます。
消火器に次いで多い設備が自動火災報知設備です。
いわゆる熱や煙を感知する感知器や建物の防災センターにある受信機を触ることができます。
大体の建物には自動火災報知設備があるので、4類も早めに取得する必要があります。
また、甲種ですので、感知器の交換や撤去といったよく依頼がくる工事も行うことができます。
私が消防設備士甲種4類に合格した時の勉強法はこちら↓
⑤消防設備士甲種1類を取得し、流れで甲種2類も取ろう
甲種4類を取得して自火報ができるようになったら、
消防設備士甲種1類を取得しましょう。
甲1は屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火栓設備、屋外消火栓設備と水関係の消防設備の点検と工事ができるようになります。
自動火災報知設備に次いで多い水系の設備に関するものなので、
甲種4類の次に甲種1類を受験しましょう。
乙6(消火器)、甲4(自火報)、甲1(水系)を持っていれば、
大体の現場の設備の点検、工事はまかなえます。
一人前と言えるでしょう。
(私は勝手に消防設備士三種の神器と呼んでいます(笑))
甲1が取れたら、消防設備士甲種2類を取得しましょう。
甲種2類は泡消火設備の点検と工事ができます。
甲2の試験内容がいくつか甲1と共通のものがあるので、
甲1と甲2は連続して受けた方が効率が良いです。
片方の勉強をすればもう片方の知識にもなるので。
泡消火設備は基本的に立体駐車場などに設置されています。
私が甲種1類の試験に合格した時の勉強法です↓
⑥あとは消防設備士甲種3類、甲種5類、乙種7類を取得しよう
甲種2類まで取れたら残る資格の
消防設備士甲種3類、5類、乙種7類を取得しましょう。
この三つの取得順番は好みで大丈夫です。
知りたい設備から優先的に取ればいいと思います。
(例えば避難器具のことを知りたいから甲5から取ろう等)
⑦最後に消防設備士甲種特類を取ろう!
最後に消防設備士甲種特類を取得しましょう。
私もまだ取得していませんが、
特類は試験がとにかく難しいので合格率が低いそうです。
私の上司も特類は諦めたという方も何人かいますが、
消防設備士コンプリートのために頑張りましょう。
受験資格として、
・甲種第1類から第3類までのいずれか一つ、甲種第4類及び甲種第5類の3種類以上の免状の交付を受けているもの
となっていますので、1~7類まで全て持っていなくても受験ができますが、
難しいうえに実務で使うことがほぼ無いので最後に受験しましょう。
落ちたら腹立ちますしね(笑)
まとめ
消防設備士関係の資格の取得順番は、
消防設備士乙種6類→第二種電気工事士、第三級陸上特殊無線技士→消防設備点検資格者第一種、第二種→消防設備士甲種4類→消防設備士甲種1類→消防設備士甲種2類→消防設備士甲種3類、甲種5類、乙種7類→消防設備士甲種特類
の順がおすすめです。
この順番ですと、受験資格を得ることができながら、科目免除や似た内容を上手く利用してスムーズに関連資格が取得できますよ。
私も全ての資格取得に向けてまだ途中ですので一緒に頑張りましょう!
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