のぶみ 作
あかね書房 出版
おすすめ年齢:3~5歳児
■あらすじ■
新幹線のしんかんくんとかんたろうくんは大の仲良し。
しんかんくんはかんたろうのことが大好きなので、
かんたろうの持っているものはなんでも貸してほしくなります。
そのため何でも「貸してー」と言って借りるのですが、
ある時、かんたろうが貸したくないお面を無理やり借りようとして、
「ビリリッ」
と壊れてしまいました。
かんたろうは当然怒りましたが、
しんかんくんも「かんたろうが貸してくれないからだぞ!」
と怒って初めてケンカになってしまいました。
そのままかんたろうの家から走り出したしんかんくんの
悲しんでいる姿を見て街のみんなが心配しました。
街のみんなと話すうちに、しんかんくんはかんたろうに謝ろうと決意しますが、
どう謝っていいか分かりません
そこで線路くんが…
■レビュー■
しんかんくんシリーズの中で子ども同士のケンカによくある場面が描かれている作品です。
しんかんくんの怒った理由は幼児期に見られる、
自己中心的な内容ですが、
本当に子ども同士のケンカでよく見られます。
話が進む中で線路くんに
「なんでかんたろうに謝らないといけないか分かる?」
といったことを聞かれ、しんかんくんは
「みんなが謝った方がいいって言うから」
と答えます。
でもそうじゃなく、「かんたろうは貸したくないのに、無理やり取ろうとしたから」
だと教えてくれて、「自分がされたら嫌でしょ」と相手の立場に立つことを諭してくれます。
幼児期の子ども達に難しい「相手の立場に立ってみる」ことを
上手く絵本で描いているので、自然と伝わる内容となっています。
いろいろなお面が出てきて笑いどころもあります。
最後にはしんかんくんが頑張って謝ると、
かんたろうくんも「僕もごめんね、会いたかったよ」と言い返す部分では、
好きな友達とはケンカもするけどやっぱり一緒にいたい
という思いがあることを再認識できます。
■読んだ子どもの姿■
ケンカをしてしまう場面では、
「物壊したらダメだね」などと言ってしんかんくんを批判したり、
街の人がアドバイスするよりも先に「『ごめんね』って言ったほうがいいよ」
と教えてくれる子どももいます。
年長児に読み聞かせる場合には、
「しんかんくんが謝らないといけないのはなんでかな?」
と子ども達に問いかけてみるのも面白いですね。
きっとかんたろうの立場に立った考えを話してくれると思います。
また、しんかんくんがいろいろなお面を付ける場面や、
かえるぴょんぴょこまるになる場面では、面白がって笑顔を浮かべてくれます。
子ども同士のケンカというよくある場面に注目した作品ですのでぜひ
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