『それならいいいえありますよ』
澤野秋文 著
講談社 出版
おすすめ年齢:3~5歳児
■あらすじ■
このお話しの主人公のぎんたは、絵で見てのとおりのなまけもので、
部屋を片付けないのでとても汚くなってます。
「片付けるのめんどくさい」と思って片づけをまったくしないので、
綺麗になることはなく、逆にどんどん汚くなっていきます。
そんな時に飼っている猫の「ちゃまる」がいつもねこ地蔵のところへ行くことを発見しました。
ちゃまるはねこ地蔵に貼っている短冊を読んでまたどこかへ行きます。
実は短冊には「○○な家を見つけてください」ということが書いてあり、
ちゃまるはその願いを聞いて家を探している猫なのでした。
例えば、短冊に「水がきれいなところ こいより」とあれば、
「この先のお城の中の池がきれいでいいですよ」
と、短冊に合った場所をこいさんに教えてあげていました。
さあそれを知ったぎんたは、
「かたづいて きれいないえ ぎんた」
と、でかでかと短冊を貼って、
「後はちゃまるが家を見つけてくれるだろう」とますます片づけをせず、
家は汚くなっていきました。
しかし、ちゃまるは全然家を見つけてきません。
しびれを切らしたぎんたはちゃまるを探しに出掛けて…
■レビュー■
独特の絵のタッチが絵本の世界観をよく描いています。
ちゃまるのかわいいけれど飄々とした雰囲気や
ぎんたの怠け者でおおざっぱな様子がとても絵に合っています。
ちゃまるが急にしゃべりだしたことに驚きながらも、
すぐにきれいな家探しにちゃまるを利用しようとするぎんたは
すごく現実的ですね(笑)
最後のオチは怠け者のぎんたがかなり焦る展開となり、
最終的に自分の力で自分の家を綺麗にしたので、
読んでいてとてもスカッとします。
表紙と裏表紙の次のページにある、
それぞれの動物達の欲しい家も読んでみるといろいろあって
おもしろいですよ。
■読んだ子どもの姿■
年長児になると、ねこ地蔵に貼られている短冊のページを読むと、
「ひるまからまっくら、って書いてある」などと自分からひらがなを読もうとします。
ぎんたのドでかい短冊に驚きながらも、
みんなで声を揃えて音読する姿が見られます。
年少児、年中児ですと、
途中に出てくるこいの大きさに驚いたり、
おばけの家のセリフの関西弁を本場っぽく読むと、
「おばけの話し方おもしろいね」などと反応を見せてくれます。
この絵本を読んだ後に、
「みんなも自分の使うお部屋やお道具箱は片づけないとダメですよ」
と言葉かければきっと子ども達は理解してくれると思います。
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