みやざきひろかず 著
旺文社 出版
おすすめ年齢:3~5歳児(特に年長児)
■あらすじ■
町はずれの丘の上の研究所に一人の博士が住んでいました。
博士はいろいろなものを発明するのが趣味で、
今回も「食べ物が大きくなる機械」を発明し、
完成実験の段階まできました。
これが成功すれば、食べ物が無くて困っている人に
食べ物をあげて助けることができる
ハンバーガーを機械に入れながら博士はそんなことを考えていました。
そしてスイッチを入れましたが、
中身はからっぽで煙だけモワッと出てきました。
実験は失敗…おなかをすかせている人たちを助けられないなぁ、
と落ち込んでいると、煙がしゃべりました。
煙はおばけだったのです。
博士は「おばけを作る機械」を作ってしまったのでした。
そのおばけをオービーと名付けて自分の家族の様に過ごしていると、
「おばけを欲しい」という人がたくさん研究所に来て…
■レビュー■
この博士、研究一筋でとても優しいことが行動で伝わってきます。
まず、貧しい人の為に食べ物を大きくするを作ろうとしていることや、
おばけが欲しい人のためにお金を取らず、断らず、ハンバーガーと交換してあげていること、
ペットが捨てられたり、ペットフード会社が倒産したニュースを見て、
おばけを作ることを辞めることを決めたりと、とにかく他人思いです。
実験の失敗からできてしまったおばけのオービーにも優しく接して、
家族同然の様に暮らしているうちに、
二人の中で絆の様なものがうまれます。
博士がオービーに悩み事を聞いてもらったり、
実験の手伝いをしたり、読んでいてとても心が暖まります。
結末も死というネガティブなものですが、
この話の世界観によって、すごく優しく死の概念を伝えてくれています。
博士は「おばけを作る機械」を作ってはいなかったのですが、
そのおかげでいろいろなことが丸く収まっています。
物語の構成も起承転結がはっきりとしていて、
少し多いページ数も相まって読書への繋げとして、
年長児にとてもおすすめです。
■読んだ子どもの姿■
子どもは機械や発明が大好きですので、
「どんな発明だろう」と絵本に食ついてくれます。
おばけの姿も三枚目なので愛らしく、
「かわいい~」なと言う姿が見られます。
読み手がオービーのセリフを抜けた感じの声で話すとなお話に引き込まれるでしょう。
のんびりおバカそうな感じで「だいじょうぶですよはかせ~」ってな感じで読むといいでしょう。
最後におばけの王様が登場した時も「おっきい!!」
「でっかすぎる!」などと驚きのリアクションを見せてくれます。
少しページ数が多いので、
複数回に分けて読むことも可能な絵本です。
子どもも続きに期待をもってくれて、
絵本が好きになると思います。
Amazonではマーケットプレイス(中古)でしか売っておらず、
店頭でもなかなか見つかりませんが、
見つけたらぜひ子どもたちに読んであげてください。
とてもおすすめです。
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