レオ=レオニ 作
谷川俊太郎 訳
好学社 出版
おすすめ年齢:1~5歳児
■あらすじ■
広い海のどこかに小さな魚の兄弟達が楽しく暮らしていました。
みんな赤い色の魚なのに、
一匹だけ真っ黒な魚がいました。
その名はスイミー。
色は違うけど、泳ぐのは一番速い小魚でした。
ある日、恐ろしい大きなマグロが魚達のところへ来て、
小さな魚達を食べてしまいました。
逃げることができたのはスイミーだけでした。
一人ぼっちになったスイミーは暗い海を泳いで逃げました。
とても寂しくて悲しかったのですが、
綺麗なくらげを見たり、イセエビ、イソギンチャクを見て、
段々と元気が出てきました。
ある時、岩陰に隠れている赤い小魚達に出会いました。
赤い魚達は大きな魚を怖がって岩陰から出て来ないので…
■レビュー■
レオ・レオニの名作「スイミー」の紹介です。
みんなとは違う色をしているけど、
泳ぐのが一番速いスイミーが、
いろいろなところを旅して、
最後に新しい仲間と出会えたお話です。
この絵本は短く文章もシンプルにまとめられていますが、
人が生活して成長していくうえで、
励みになるような事を伝えている気がします。
例えば、スイミーは一匹だけ他の魚と色が違いましたが、
泳ぐのは一番速かった。
そして他の赤い魚達はスイミーをのけ者にせず、
仲間として受け入れていました。
その様子は
『いろいろな人がいるけど、それぞれに良いところがある。
だからまずはその人と接してみよう』というメッセージの様に感じました。
また、終盤の小さな小魚で大きな魚の形に並び、
スイミーが目になって大きな魚のふりをする有名な場面では、
『勇気を出せば、恐ろしいものには立ち向かえる』
『創意工夫でいろいろなことができる』
といったことを感じることができます。
版画の様な独特な絵も
子ども達にとってはとても新鮮に感じられることでしょう。
■読んだ子どもの姿■
私の方法になりますが、スイミーを読むときは、
サブタイトルの「ちいさな かしこい さかなのはなし」
という部分をタイトルと一緒に子どもに話ます。
年齢の高い子になると、「かしこい魚ってどんな風に賢いんだろう」
と無意識のうちに考えてくれます。
そして終盤の大きな魚になるシーンでは、
最初に言ったサブタイトルにピーンときて、
「大きな魚になった!すごい」と反応してくれます。
年齢の低い子どもは、
スイミーが一人ぼっちになって泳いでいく先で、
イセエビや他の魚を見つけるのを見て、
興味深そうに絵本に視線を向けてくれるでしょう。
ページ数も少なく、文章も読みやすい名作ですので、
ぜひ読んでみて下さい。
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