長谷川摂子 作
ふりや なな 絵
福音館 出版
おすすめ年齢:3~5歳児
■あらすじ■
かんたは外に遊びに出かけていました。
山に来たら誰か友達がいると思っていましたが、
誰もいませんでした。
せっかくここまで来たの誰もいないのはしゃくだったので、
かんたはめちゃくちゃな歌を唄ってやった
「ちんぷく まんぷく あっぺらこの きんぷらこ
じょんがら ぴこたこ めっきらもっきら どおんどん」
すると突然風が吹いてきて、
「よおよお、ええうたええうた」と奇妙な声が
大木の下の穴から聞こえてきた
不思議に思って穴を覗いてみると、
あっという間に吸い込まれて落ちていき
夜の山に出てきた
向こうから不思議な三人組がやってきて、
遊ぼうと言ってきて…
■レビュー■
不思議な三人組の化け物に会うお話です。
この三人の化け物はそれぞれが特徴的で面白いです。
空を飛ぶことが得意なしっかかもっかかは、
長い赤い髪をした子どもの様ないで立ち
いろいろなお宝を持っているおたからまんちんは、
チャイナ服を着た、白いひげを生やしたおじいさんの様な姿
そして、縄跳びの名人のもんもんびゃっこは、
白い顔のキツネの様な外見をしています。
三人の化け物の心が子どもと同じなので、
かんたに「遊ぼうぜ」と言って断られると「遊んでよ~」と駄々をこねて大声で泣いたり、
誰が一番目にかんたと遊ぶかで取っ組み合いのけんかをします(笑)
幼児期にはよく見られる姿が化け物達の行動に現れているので、
子ども達も親近感が湧くことでしょう。
遊びに出かけたけど、友達がいなかったかんたにとって、
化け物達と空を飛んだり、遊んだり、おやつを食べたり、
休憩で眠ったりすることはとても楽しかったことが伝わってきます。
子どもは空想にふける生き物なので、
かんたにとって、この化け物達との時間はまさに夢の時間だったのでしょう。
その夢が覚めてしまう言葉「お母さん…」と言ってしまった後、
すぐに現実の元の場所に戻っています。
かんたの考えた呪文の言葉も、
意味は全然分からないけど、とにかく唄いたかった気持ちから出たもので
その瞬間の思いや発想を表していて面白いですね。
■読んだ子どもの姿■
見た目のインパクトが強い化け物達に驚く子どももいれば、
逆に声も出さずに真剣に絵本を見続ける子どももいて反応が面白いです。
「ちんぷくまんぷく…」の呪文は何度か読むうちに
子ども達が覚えるので、絵本を読む時に「せーの」と言葉かけをすると、
子どもが一緒に唄ってくれます。
三人それぞれ違った特技を持っているので、
「空を飛んでみたいなぁ」、「おたからきれいだね」「めっちゃ縄跳び高く跳んでる!」
と子ども達一人ひとりが別々の登場人物に好意を見せることでしょう。
この絵本を読んだ後に、大木のある公園に散歩に出かけて、
子どもと一緒に呪文を唱えてみるのも楽しいと思います。
夢か現実か分からない不思議な世界に行ってしまうお話をぜひ
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